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2012年5月 5日 (土)

日本停滞の原因に思考力の問題がある

◆ 長すぎる失われた20年
失われた20年と言われる程、日本は停滞を続けている。
その原因は、いろいろ考えられているが、経済成長の源といえるイノベーションがなかなか起こらないからだというのが一致した見解だ。なぜイノベーションが起こらないかについて、社会・経済のシステムが悪いという説が有力で、「構造改革」が必要だと説かれてきた。しかし、構造改革は道半ばで頓挫してしまった感があり、イノベーションも経済成長も見えてこない。
「このまま日本は沈んでしまうのか」
「もう成長は無理だ」
などという諦めの声さえ聞こえるようになった。
しかし、ここは、原点に帰って考える必要があろう。イノベーションの原点とは何かといえば、人間の知力であり、その知力をつくるのは「思考」であり、思考を養うのは「教育」であるということになる。
もし現代の日本人の「思考」すなわち考える力が、劣化してきているとしたら、事態は深刻である。それに対応するには教育を一からやり直さなければならず、成果が得られるまでには時間がかかることになる。
戦後、この教育の問題を提起したパイオニヤ的存在が、産業能率短期大学(現産業能率大学)創始者の上野陽一である。一貫して独創性の開発と教育の必要性を説いた。その著書『独創性の開発とその技法』は、50年を経た今日でもその内容には新鮮さがあり、けだし名著である。改めて、独創性の教育を考え直すことが急務であろう。

★参照 上野陽一著『独創性の開発とその技法』 技報堂(昭和32年11月15日)

もう一つのすぐ出来る対応は、今日、我々日本人の思考を制限している要素を取り払うことである。
長年、創造性に携わってきた筆者にとって、気がかりなことがある。それは、情報過多と情報機器の乱用である。高度情報化時代は、情報過多を招き、人々はその検索に振り回されているように思う。学生の論文を見ると、インターネットの検索とコピー/ペーストに、ほとんどの時間を費やしている。自分で一から考えるという本当の意味の思考力が育っていない。情報過多が、本当に必要な思考力を低下させているということを感じる。
もう一つの問題が、情報機器の乱用である。ある研修会の講師となった時、聴講者の多くがICレコーダーやノートパソコン使用していた。そのため講師の方を注視してもらえず、どれだけ分かってもらえたのか不安だった。
会議の時も、パソコン、ipat、スマートホンなどを活用するメンバーは、「思考」するより、「調査」に大部分の精力を使っているように思える。そのためか、会議の内容が深まらず皮相に留まることが多い。
これらのことから、いますぐなすべき対応は以下の通りであろう。

◆ 思考力を向上させるための提案

① 情報過多対策として、調査優先でなく思考優先とすること。十分課題について思考を凝らしてから調査することである。思考を優先し調査を思考と分離することである。
② 情報機器の使用の制限 会議や研修で、情報機器を使用できる場合と、持ち込み禁止とする場合について、取り決めること。
③ 抜本的対応として、独創性の開発と教育をより充実すること。

これらの三項はすぐ可能な対策であるが、もっと根本的な対応がある。それは、メタ思考、メタ独創と言うべき、思考の本質「思考とは何か」「独創とは何か」を深く追究する学問を進めることである。このことについては、別の機会に譲る。

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