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2011年4月15日 (金)

大震災復興で必要なのは行動力とブレークスルーの機会発見力だ

◆復興で必要なのは思考主義ではない、行動発見主義だ

東日本大震災でまるで日本の時間が止まったように感じる。これまで、信じてきた未来の方向が、見えなくなってしまった。産業政策優先の自民党から、国民生活優先の民主党への政権交代も、エアポケットに落ち込んでしまった感がある。

これからどうなるのか、どうすべきなのか、いかに素早く方向性を見付けるかが問われている。

とにかく今はまだ行方不明者、安否不明者を探し、避難民を救護するという行動力が要求される。それが一区切りついたら生活再建と復興期になる。本格的に復興が始まるのはいつ頃か、いまは見通しがつかないが、必ず復興が始まる。

そのとき、どんな復興方針とするのか、もう考えておかなければならない。

◆復興が復旧の延長線になっては元の木阿弥である 

三陸地方は、過去に何度も震災津波の被害を受けてきた。
筆者は、小学生のころから気象や災害に関心があり、毎日欠かさず気象観測の記録をとっていた。中高生になると、気象クラブに入り、地元の農家向に「低温や霜の情報」を提供し重宝がられていた。そうした活動に地元気象台も協力してくれて、過去の気象や災害の詳しいデーター集を提供してくれた。そのなかに、『気象と天災』という本があった。そこには、今回と同じくらいの規模の大津波が三陸海岸を襲ったという記録があった。最大波高さ38メートルという巨大津波で万余の犠牲者が出たことが記されていた。

今回の東日本大震災で、未曾有とか想定外という言葉をよく耳にする。しかし、筆者には、今回の大津波を、未曾有とか想定外とかいうのは解せない。過去の事例から十分想定できるはずだった。

明治三陸津波が最大38.2m、昭和三陸津波が28mである。それなのに、なぜ、人々は、今回の津波を想定外というのだろうか?

◆ここに防災の隘路がある

過去の津波が38mでも、それは最悪の特別な場所のことだ。今後そんな津波はやってこないだろう。あるいはここにはそんな大津波はこないだろう、などと解釈し、過去の事例と異なる想定をしてしまったのではないか。想定を人間がこしらえてしまったともいえる。
そうでなければ、被害を受けた場所に、5~10m程度の堤防をつくり、再び町を再建するなんて考えられない。

この不合理な想定がなされた理由は、何なのか。三陸海岸にもっと高い堤防を巡らすという案、或いは、全ての住居を津波がこない高台に移すという案も出されたと聞く。しかし、それらが技術的に可能でも、時間的、経済的に困難だったのではないか。被災者は、一日も早い生活再建を希求している。その中で、悠長な復興計画を待ってはいられなかったのだと思う。こうしたことから、過去の津波を希望的観測あるいは観察をいれて解釈し、現実的な想定をせざるを得なかったのではないだろうか。

今日では、過去の津波の記録を遡って研究できるようになった。それはボーリング調査をして、津波堆積物の分布を調べるという方法である。それによると、三陸では過去に何度も、陸地深く到達した津波があったことがわかったという。

◆復興の第一は津波の想定の根本的見直し

復興計画の大前提として、今回の東日本大震災の津波はもちろん、過去の津波記録も参照して、新しい津波想定をつくることが必要だ。もちろん、そこに希望的観測など考慮に入れないことだ。想定は人間の都合で決めてはならないのだ。自然は人間の都合に合わせてくれないのだから。

◆行動力と全く新しい発想が必要だ

次に必要なのは行動力とブレークスルー機会の発見力だ。
この未曾有の国難は、既存のシステムを改善することでは解決困難であろう。
いま、厳しい津波想定のもとで、復興についてのブレークスルーのアイデアが必要なのだ。
そのブレークスルーの機会は、座して思考していたのでは得られないことは、ブレークスルー思考法の教えるところである。まず、当座の復旧への行動に全力を尽くすことである。その行動力の延長線上に全く新しいブレークスルーの機会が発見されるはずだ。改善型の「慎重に思考してから行動する」のではなく、まず行動しその中から機会を発見しブレークスルーのアイデアを得るのだ。

◆いまブレークスルー学者にできること、なすべきこと

我々ブレークスルー学に携わるものがいまできることは、懸命に闘っている現場の声、映像、データーなどを、ブレークスルー思考法に照らすことで、新しいアイデアを生み出すことだと思う。そのアイデアが既存のシステムを前提としたらそれは改善型のアイデアになってしまう。ブレークスルーのアイデアは、前提のシステム自体を変えて、新しいシステムを創造するものだ。
現実に押されて、復興計画を歪曲させてはならない。それでは、復旧止まりになってしまうではないか。もし、今回の復興がそうなれば、いずれ次の津波で再び壊滅的被害を受けることになるはずだ。

◆大津波地震の頻度

大津波地震の頻度は、明治以降だけでも、次の三回ある。

明治三陸地震(めいじさんりくじしん)は、1896年(明治29年)観測史上最高の遡上高である海抜38.2mの津波。

昭和三陸地震(しょうわさんりくじしん)は、1933年(昭和8年)津波の遡上高海抜28.7m

東日本大震災2011年(平成23年)遡上高海抜37.9m

その間隔は、37年と78年である。もっと過去に遡ると、数十年~数百年の周期で、三陸大津波が押し寄せているという。

◆復興イノベーションを起こそう

今日、観測技術の進歩で、三陸には地震津波が周期的にやってくることが明らかになっている。もう今までのように元通りに町や集落を再建するという復興では意味がない。堤防を高くするという技術的解決策にも限界がある。前例、常識、既成概念を破るブレークスルーによる「復興イノベーション」が求められる。復興イノベーションとは、復興で、「新しい価値を創造する」ということである。復興で元通りにするというのではなく、被害額以上の新しい価値の創造を目指したいものだ。それが、多くの犠牲に報いることだと思う。

BT総研は、長年、ブレークスルー思考とイノベーションの研究を続けてきた。この国難にあたり、その研究を活かした様々な提案を行っていきたい。同時に、現状をブレークスルーし、新しい価値を生みだす手法についても解説していきたいと思う。そうした手法が、新しいブレークスルーのアイデア創出に役立つことを願いたい。

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