無料ブログはココログ

« 2009年7月 | トップページ | 2009年12月 »

2009年8月

2009年8月 6日 (木)

遺伝子科学でみる日米の思考力 

遺伝子科学で分ってきた日米の思考力の質の違い 

 人間のイノベーション能力を云々するのに、遺伝的な素質ということがあるんじゃないか。思考法を研究してきた私は、いつも頭の片隅にそうした考えがひっかかっていた。それが最近の遺伝子科学の発展で、答えが出ようとしている。

◆対照的な日米人の二つの遺伝子

新規探索傾向につながる遺伝子を持つ割合
アメリカ人  40%
日本人     7%

慎重さの傾向につながる遺伝子を持つ割合

アメリカ人 40%、
日本人   98%

 なんとも対照的であるが、これらは、最近、人間の思考傾向や能力に、関係していることが分ってきた遺伝子だ。目覚しい遺伝子科学の発展は、思考法の研究にも遺伝子のことを考えなければならない時代になったのだ。

 脳科学の教えるところによれば、私達の性格を生み出しているのは、一つの神経細胞に10万以上あるといわれるシナプスでの神経伝達物質のやりとりであるという。
 その中で、前記二つの遺伝子が人間の精神の特性に関係するとして注目されている。

(1)新規 探索傾向にかかわる遺伝子――ドーパミン第四レセプターの遺伝子(第11番染色体にある)

 人は、新しい物事や珍しい物に心が引かれることがある。この傾向の強さにドーパミン第四レセプターの遺伝子が関係しているという。――リチャード・エクスタイン博士(ヘルツォーク記念病院研究所)により発見。

 ドーパミン第四レセプターは、神経物質ドーパミンを受け取ることで、脳神経細胞の興奮を抑える働きをする。このとき、ドーパミンをうまく受け取ることができなければ、脳の神経細胞は興奮し続け、新しいものに次々に興味を持つ性格に繋がるという。

 この第四レセプターをつくる遺伝子は、人によって長さ(繰り返し回数)に違いがある。繰り返しの回数が一番少ない人では1回、最も多い人では8回だったという。この繰り返しの回数が多い人(遺伝子が長い)人ほど、目新しいものに興味を示す傾向――新奇探索傾向(Novelty Seeking)――が強くなるという。

 遺伝子が長い人の場合は、ドーパミンとうまく結びつくことができず命令を受け取れないからだ。すると脳の神経細胞は興奮し続け、目新しいものに次々に興味を持つ性格になるという。

★新規探索傾向が強い人の割合
人によって、その繰り返し回数が、1回~8回の違いがある「ドーパミン第4レセプター遺伝子内塩基」の繰り返しが、4回以上見られる人の割合で、新しいものを求める傾向が強いとされる人の割合だ。

アメリカ人  40%
日本人     7%

★不安の感じ易さ/慎重さを表す遺伝子を持つ人の割合
セロトニンを運ぶトランスポーターが不足になりがちになる遺伝子を持つ人の割合。

アメリカ人 40%、
日本人   98%

(データーはPRESIDENT 2007.3.5号 P88~91 諏訪東京理科大学教授 より)

日本人は、脳内伝達物質のセロトニンが不足がちになりやすく、不安を感じ易い人が米国人の2.5倍近くもあるといことだ。
一方、ドーパミン第4レセプターの繰り返し回数多く、目新しいものに興味を示す傾向が強い人が、日本人は、米国人の1/7以下しかいない。

これは、常に新しいものにチャレンジしていく精神。フロンティア・スピリットが米国人の気質、というのによく合っている

慎重、細心、たこつぼ的という日本人の気質は、セロトニン不足になり易い遺伝子の特徴が反映したものか。
日本人が、安定志向を持っていて、熟知している分野で力を発揮するという傾向を示している。一つのところに腰を落ち着けて、じっくり勉強したり、一つの分野にこだわって能力を発揮するのが日本人の強みだ。

 脳科学は、こうした遺伝子レベルの研究とともに、MRI脳画像による研究も急速に進んでいる。イノベーションの促進のために、脳科学の成果を積極的にとり入れていきたいものである。

◆ここまできた脳画像診断

株式会社脳の学校 http://www.nonogakko.com/

« 2009年7月 | トップページ | 2009年12月 »