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2009年7月 3日 (金)

日米のイノベーションの質に違い

●日米のイノベーションの質の違いを考える

 前回、日米のイノベーションの質の違いを明らかにするために、シンプルなモデルを示した。それは、イノベーション実現までに打破すべき「壁」と、超えるべき「谷」である。問題は、この壁の構造と、谷の構造が日米でどう違うのかということである。日米のイノベーションの違いは、まさに、この壁と谷の構造の違いにあるといえる。

 これらの構造を知る手がかりは、事例、すなわち過去になされたイノベーションのプロセスの解析である。

◆アメリカではドリームなのに日本では・・・?

 アメリカでは、発明とかイノベーションといえば、アメリカンドリームという言葉が返ってくる。しかし日本では、発明というと艱難辛苦、発明貧乏、発明乞食、千三つなんていうマイナスイメージが先に立つ。

 なんでこんなに違いがあるのか。 

 長年、イノベーションに携わってきた筆者は、数多くの研究者にインタビューする機会を得た。その際、研究者達の口から出たのは苦労話し、艱難辛苦ふりであった。

 また、筆者は、過去になされたイノベーションの成功例の記録を分析してきた。その中でも、日本のイノベーションのプロセスは、凄まじい苦労の連続であった。

 これに反して、米国で語られているイノベーションは、アメリカンドリームが先に立つ。

 この日米の違いは、日米の発明やイノベーションのモデルが異質なものであることに起因していると考えられる。

 ここで結論めいたことを言えば、このイノベーション・モデルの違いは、民族の個性の違い、社会風土の違いということに行きつく。さらに、最近の生命科学の示すところでは、日米人の遺伝子の違いにまで帰着する。

◆日本のイノベーションは、その個性(細心さ、慎重さ 凝り性)などから生まれる独自のイノベーションだ

 日本人の第一の強みは「凝り性」といえる。その中から既成概念を打ち壊すイノベーターが生まれてきた。この凝り性度では、欧米に比肩すべきものがないといえる。

 日本には、○○一筋何十年なんていうイノベーターがいくらでもいる。それは、細心さ、慎重さ 凝り性の表れである。

身近な例をあげてみよう。
染色家久保田一竹氏 染色一筋40年
木村のリンゴ 木村秋則氏 無農薬リンゴ栽培一筋20年
ノーベル化学賞受賞の下村脩氏 クラゲなどの蛍光タンパク質研究一筋50年
アイガモ農法一筋の古野隆雄氏
など

先端分野で世界に先駆する例をあげでみよう
半導体技術の圧倒的発明数
液晶、有機EL
青色発光ダイオード
万能細胞
トレハロースの製造
各種環境技術
など

 特に、最近注目される環境技術では、日本人の発明数が、世界の関連発明の中で70%近くを占めているという。米国のオバマ大統領も、その演説で、日本の環境技術の優位性を認め、米国もそれが出来はずと国民にうったえている。

 このように個々の技術では、日本の発明力が世界をリードし、他を圧倒している例が沢山ある。

 ところが、日本人の発想には弱点がある。それは、「俯瞰性に乏しい」ということだ。つまり物事を新しいシステムでとらえること、活用することが苦手なのだ。

 この点、アメリカの俯瞰的発想力には、常に驚かされるものがある。その俯瞰性は、競争基盤そのものまで変えてしまうこともある。

 現在のグリーンニューデールでもその俯瞰性に関心させられた。

①スーパーグリッド
 大規模太陽エネルギー発電所に対応する送配電システム
②スマートグリッド
 太陽光パネルなど新しい分散型の発電電力の送配電システム

 各家庭の太陽光パネルで電気自動車のバッテリーに充電――これらの電気自動車をネットワーク化し、各戸の充電、発電、使用量のデーターをオンライン化――システム実現のためにGEとグーグルが提携し、全米規模で電力需要を調整する

 これらのシステムによって、太陽光発電と電気自動車の普及を一挙に押し進めようというものだ。

 つまり、アメリカの発想は、個々の技術を結んで、目的を達成する新しいシステムを考えるという俯瞰性に優れているのだ。
 その俯瞰性の特徴は、目的を達成するために、総合的な施策を考える縦割り排除、組織の壁を破る、専門の壁を超えるなどである。

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