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2009年7月

2009年7月23日 (木)

「技術立国」日本の未来が危うい

●「技術立国」を自認してきた日本だが・・・・・

 1990年代、科学技術基本法のもと。科学技術創造立国を目指してきた日本。現在でも そのスタンスは変っていないはずだ。しかし実態は理工系ばなれがはなはだしい。統計によれば、1995年からの10年間で工学部を目指す学生数は半減。さらに今後、少子化が進めば事態はもっと深刻になってくる。すでに、技術者不足が叫ばれていながら、なり手がいなくなるというのは大問題だ。

◆誇りや夢を持てなくなった理工系
 理工系離れは種々分析されているが、要は、我が国の現状では、理工系のキャリアに誇りや夢を持てなくなっていることだろう。
 ここで、いま子供達の人気ナンバーワンのプロ野球の世界と比較してみよう。プロ野球の世界では日本の一流選手は、米メジャーリーグでも大活躍している。つまり日本でプロ野球選手としてキャリアを伸ばせば、米メジャーリーグで活躍できるという夢を持てるのだ。
 それに比べて、理工系ではキャリアを伸ばす道が国内では限られているのが実態だ。
 一方、独立してベンチャーを設立する道も、その活動を支援する体制が十分とは言えない。開業に対する廃業率のなんと高いことか。

 つまり、技術者は、日本でレベルアップできない環境があるのだ。
 そこで、イノベーティブな能力を伸ばすために、技術者は、海外を目指す。最近、日本人のノーベル賞受賞者が増えているが、その多くは、海外での研究や共同研究があっての受賞というのが実情だ。

 野球のように日本でレベルアップして海外で活躍できる、そんな環境が理工系にも欲しい。

2009年7月16日 (木)

これからの日本の生きる道

●これからの日本の生きる道は二つある

 一つは、強みを伸ばし、弱いところは世界と連携する

 一つは、強みを伸ばし、弱いところは自ら克服する

 日本の社会が競争力を持つためには、前者の強みを伸ばして弱いところは世界と連携していけばいいとよく言われる。しかし、言うのは容易だが、そう簡単ではない。それは結局、日本の強みと、米国の強みをバーターする、ということになろう。相手あってのこととて、いつもそれがうまくいくとは限らないのだ。

 1970~80年代、日本の、欧米の基礎技術キャッチアップ体質に批判を浴びたてきたことを考えて欲しい。世界のトップランナーの仲間入りした日本は、基礎技術も自前で開発しなければならなくなったのだ。

 その反省に立てば、自らの弱点である俯瞰的思考も身につける手立てを案出しなければならない。
 BT総研は、この俯瞰的思考の手掛かりとなる理論と、学習法を開発している。それは、イノベーションの担い手「イノベーター」の養成に資するものである。

2009年7月 9日 (木)

日本人の思考「たこつぼ的」の功罪

●「たこつぼ的」対「俯瞰的」

 アメリカの俯瞰的発想に対して、日本人の発想は「たこつぼ思考」「縦割り思考」なんて卑下する向きがある。そして、イノベーション促進のためには、「とかくたこつぼに安住したがる日本人を、たこつぼから追い出すことだ」、「それが真の解放というものだ」なんて言われる。

◆ここでちょっとまった!

 これまで、日本の成長を支えてきたイノベーションの多くは、「たこつぼ的思考」でなされたものではなかったのか。たこつぼ的であるか、否かに拘わらず、それが日本人の個性から生まれた/個性に合った思考の産物だったはずだ。

 実際に、個々の技術では、日本が多くの分野で優位を占めてきた。問題は、個々の技術を結んで、目的を達成する新しいシステムを考えるという俯瞰的思考に乏しかったのだ。 その結果、個々の技術では勝っていながら、その優位性を活かせなかった。そのため諸外国に遅れをとった事例が非常に多くある。
 例えば、21世紀の大問題に水処理がある。世界規模で水不足が深刻化しており、水処理産業のマーケットは、60~100兆円に達するという。
 この水処理の革命的技術に、逆浸透膜がある。海水も、汚水も、逆浸透膜でろ過することで、真水を容易に得ることができる、
 しかし、世界的にみてその普及は進んでいない。まだ従来の水処理設備が幅をきかしている。それを仕切るのが欧米企業だ。欧米企業は、水処理技術を売るのではなく、俯瞰的に個々の技術を活かしたシステムづくりに強みがあるからだという。

 個々の技術の優位性だけでは産業としての優位性につながらない。

 そうしたことが、日本人の思考がたこつぼ的だからだ、という批判は、あたらない。個々の技術開発では、日本人の個性にあった思考法だとして自信を持つべきだ。むしろ、それをさらに磨き上げるべきだ。
 問題は、俯瞰的思考に劣ることをどう克服するかということだ。実は、才覚的でなく、科学的手法として、俯瞰性を補う方法がある。それを身につければ、鬼に金棒である。その俯瞰的思考を可能とする方法は、別の稿に譲る。

 ここでは、イノベーションにつながるブレークスルーをどうして得たかについて、対照的な日本とアメリカをいくつかのキーワードで示そう。

◆日米の違いをあらわすキーワード
アメリカ――俯瞰性 物事を新しいシステムでとらえ、活用すること――異との遭遇――新規探索傾向――荒野に宝――冒険心――組織より個人能力発揮型

日本――凝り性――艱難辛苦――限界者――細心さ、慎重さ、問題の掘り下げ思考――地下の宝――習得型――調査型――あくなき改良――全員参加型の改善活動

2009年7月 3日 (金)

日米のイノベーションの質に違い

●日米のイノベーションの質の違いを考える

 前回、日米のイノベーションの質の違いを明らかにするために、シンプルなモデルを示した。それは、イノベーション実現までに打破すべき「壁」と、超えるべき「谷」である。問題は、この壁の構造と、谷の構造が日米でどう違うのかということである。日米のイノベーションの違いは、まさに、この壁と谷の構造の違いにあるといえる。

 これらの構造を知る手がかりは、事例、すなわち過去になされたイノベーションのプロセスの解析である。

◆アメリカではドリームなのに日本では・・・?

 アメリカでは、発明とかイノベーションといえば、アメリカンドリームという言葉が返ってくる。しかし日本では、発明というと艱難辛苦、発明貧乏、発明乞食、千三つなんていうマイナスイメージが先に立つ。

 なんでこんなに違いがあるのか。 

 長年、イノベーションに携わってきた筆者は、数多くの研究者にインタビューする機会を得た。その際、研究者達の口から出たのは苦労話し、艱難辛苦ふりであった。

 また、筆者は、過去になされたイノベーションの成功例の記録を分析してきた。その中でも、日本のイノベーションのプロセスは、凄まじい苦労の連続であった。

 これに反して、米国で語られているイノベーションは、アメリカンドリームが先に立つ。

 この日米の違いは、日米の発明やイノベーションのモデルが異質なものであることに起因していると考えられる。

 ここで結論めいたことを言えば、このイノベーション・モデルの違いは、民族の個性の違い、社会風土の違いということに行きつく。さらに、最近の生命科学の示すところでは、日米人の遺伝子の違いにまで帰着する。

◆日本のイノベーションは、その個性(細心さ、慎重さ 凝り性)などから生まれる独自のイノベーションだ

 日本人の第一の強みは「凝り性」といえる。その中から既成概念を打ち壊すイノベーターが生まれてきた。この凝り性度では、欧米に比肩すべきものがないといえる。

 日本には、○○一筋何十年なんていうイノベーターがいくらでもいる。それは、細心さ、慎重さ 凝り性の表れである。

身近な例をあげてみよう。
染色家久保田一竹氏 染色一筋40年
木村のリンゴ 木村秋則氏 無農薬リンゴ栽培一筋20年
ノーベル化学賞受賞の下村脩氏 クラゲなどの蛍光タンパク質研究一筋50年
アイガモ農法一筋の古野隆雄氏
など

先端分野で世界に先駆する例をあげでみよう
半導体技術の圧倒的発明数
液晶、有機EL
青色発光ダイオード
万能細胞
トレハロースの製造
各種環境技術
など

 特に、最近注目される環境技術では、日本人の発明数が、世界の関連発明の中で70%近くを占めているという。米国のオバマ大統領も、その演説で、日本の環境技術の優位性を認め、米国もそれが出来はずと国民にうったえている。

 このように個々の技術では、日本の発明力が世界をリードし、他を圧倒している例が沢山ある。

 ところが、日本人の発想には弱点がある。それは、「俯瞰性に乏しい」ということだ。つまり物事を新しいシステムでとらえること、活用することが苦手なのだ。

 この点、アメリカの俯瞰的発想力には、常に驚かされるものがある。その俯瞰性は、競争基盤そのものまで変えてしまうこともある。

 現在のグリーンニューデールでもその俯瞰性に関心させられた。

①スーパーグリッド
 大規模太陽エネルギー発電所に対応する送配電システム
②スマートグリッド
 太陽光パネルなど新しい分散型の発電電力の送配電システム

 各家庭の太陽光パネルで電気自動車のバッテリーに充電――これらの電気自動車をネットワーク化し、各戸の充電、発電、使用量のデーターをオンライン化――システム実現のためにGEとグーグルが提携し、全米規模で電力需要を調整する

 これらのシステムによって、太陽光発電と電気自動車の普及を一挙に押し進めようというものだ。

 つまり、アメリカの発想は、個々の技術を結んで、目的を達成する新しいシステムを考えるという俯瞰性に優れているのだ。
 その俯瞰性の特徴は、目的を達成するために、総合的な施策を考える縦割り排除、組織の壁を破る、専門の壁を超えるなどである。

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